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忌避剤でネズミ対策できるの?忌避剤の選び方や使い方を徹底解説
- ネズミ駆除の豆知識
- 2020.01.01
家の中にネズミがいると、すぐにでも追い出したいと思うでしょう。
ネズミ対策グッズは数多く存在しますが、その中のカテゴリーの1つに「忌避剤(きひざい)」というグッズがあります
忌避剤は「選び方」と「使い方」が重要であり、いくら高額な忌避剤でも正しく使用できなければ十分な効果は発揮されません。
この記事では、ネズミ被害に悩んでいる人のために、ネズミの習性を熟知している元駆除業者が、ネズミ用の忌避剤に関するさまざまな知識について解説します。
この記事を読めば、忌避剤の正しい使い方を実践でき、ネズミ被害に悩む日々とサヨナラすることができるはずです。
忌避剤とは何か?
「忌避剤」とは、害獣や害虫が嫌がる成分を用いることにより、設置した場所の周囲に対象となる害獣や害虫を寄せ付けないために使用されるグッズのことをいいます。
例えば、人間だって「嫌な臭いのする場所」や「極端に高温または低温の場所」「騒音が発生している場所」などには不快感を示し、近づきたくない、あるいはすぐにでも遠ざかりたいと思うはずです。
害獣・害虫用の忌避剤は、対象となる生物が嫌がる「臭い」を何らかの方法で使用場所の周辺に拡散し、その臭いを感じ取った対象生物を遠ざけ、近寄らせないことが可能なのです。
忌避剤の種類
市販されている忌避剤は、主に「スプレータイプ」「くん煙タイプ」「設置タイプ」の3種類に分類されます。
種類 | 使用方法 | 特徴 |
スプレー | スプレーを噴射する | ・即効性が高い ・持続性に難あり ・引火性がある |
くん煙 | 設置して煙を充満させる | ・空間の隅々まで行きわたる ・ネズミの場所がわからない場合におすすめ ・家具や電子機器、ペットへの影響を考慮する必要がある |
設置 | 開封して設置する | ・持続効果が高い ・家具やペットへの影響は最も少ない ・手の届く範囲にしか設置できない |
それぞれ使用上のメリット・デメリットが大きく異なりますので、どのような状況でネズミ被害が発生しているのかによって商品のタイプを選定する必要があります。
忌避剤はどこで購入できる?
忌避剤は、主に以下の場所で購入できます。
- ・ホームセンター
- ・ドラッグストア
- ・通販サイト
実際に自分の目で見て購入したい場合には「ホームセンター」や「ドラッグストア」がおすすめですが、商品の種類を考慮するとメリットが大きいのは「通販サイト」でしょう。
忌避剤は自作することができるの?
市販されているグッズを購入して何らかのアクションを実行するにあたって、費用を少しでも抑える方法として「グッズを自作する」という方法もありますが、これは賛否両論なので効果があるかどうかは疑わしいです。
ネズミは「ハッカ」や「トウガラシ」の臭いを苦手としているため、これらを利用した「オリジナルの忌避剤」を利用するという手段もあります。
②スプレーボトルにハッカ油を少量とエタノール、精製水を混ぜる
③ネズミ本体またはネズミが近づく場所にスプレーする
②輪切りにした鷹の爪をお茶用パックに入れる
③ネズミが近づく場所に設置する
ただし、効果のほどは市販の忌避剤と比較してどれほど発揮されるのかは未知数であり、製作の手間を惜しむのであれば市販の忌避剤を使用することをおすすめします。
忌避剤を使用することのメリット
忌避剤を使用したネズミ対策の最大のメリットは「自宅内でネズミの『死骸』が発生しないこと」です。
ネズミ駆除を行う方法としては、例えば「粘着シートで捕獲する」とか「殺鼠剤を食べさせて殺す」といった手段がありますが、どちらの方法も基本的に自宅内にネズミの死骸が発生します。
死骸を放置すると悪臭や病原菌などの健康被害を発生させるため、処分しなければなりませんが、ネズミの死骸に関わるのはあまり気持ちの良いことではありません。
忌避剤の効果はネズミを殺すのではなく「ネズミを追い出す」ため、自宅内にネズミの死骸は発生せず、ネズミに触れることなくネズミ対策することができます。
忌避剤の効果と対象外の生物への影響
ネズミを追い出すために忌避剤を購入するのであれば「ネズミ用の忌避剤」を購入するのが普通ですが、この忌避剤は「ネズミだけに影響する」というわけではなく、ペットを飼っている場合にはペットへの影響も考慮しなければなりません。
どのような影響が出るかは忌避剤とペットの相性次第ではありますが、特に問題なのは「くん煙タイプの忌避剤を、ハムスターなどの小動物がいる空間で使用すること」です。
ネズミ用の忌避剤は、ネズミの仲間であるハムスターなどの小動物に対しても大きな影響を及ぼします。
くん煙タイプのように、きちんと対処しないと建物内に縦横無尽に拡散するタイプの忌避剤を使用する場合には、くん煙が届くと困るペットや家電などは退避するなどの対処をしなければなりません。
その他の種類のペットに関しても、忌避剤がどのような影響を及ぼすかわかりませんので、事前に避難させておくか、影響の少ない種類の忌避剤を使用するようにしてください。
忌避剤を使用する際の注意点
忌避剤を使用する際には「使用上の注意点」を良く確認して、安全に使用してください。
主に、以下のポイントに注意して使用する必要があります。
- ・スプレーやくん煙を吸い込まないようにする(マスクを着用するなど)
- ・設置タイプは忌避剤の誤飲を避ける(小さなお子さんやペットなど)
- ・固形タイプの忌避剤は直接手で触れない
- ・ペットだけでなく植物への影響も考慮する
- ・本来の使用用途以外の用途で使用しない
- ・保管方法にも注意する
- ・成分が川などに流入しないように注意する
- ・その他、危険な使用方法は絶対に避ける
不明な点があれば、使用前にメーカーに問い合わせて解決しておきましょう。
ネズミ用の忌避剤の選び方
ネズミを追い出すために忌避剤を使用する際には、「どういった状況・環境で使用するのか?」を想定して商品を選ぶ必要があります。
倉庫などで使用する場合
忌避剤を使用する場所が「倉庫」などの場合であれば、特に商品選びに困ることはありません。
住人やペットへの影響もありませんし、侵入して作業するのに困るような場所でもありませんので、どのタイプでも問題なく使用することができるでしょう。
ただし、スプレーやくん煙の影響を強く受ける品物がある倉庫の場合であれば、設置タイプの忌避剤を使用することをおすすめします。
そうでない場合で、特に広い倉庫に使用する場合であれば、隅々まで効果の広がるくん煙タイプを使用することをおすすめします。
天井裏で使用する場合
忌避剤を使用する場所が「天井裏」である場合には、スプレータイプ、またはくん煙タイプがおすすめです。
ただし、天井裏に手が届きやすい場合であれば、設置タイプでも差し支えありません。
重要なことは「忌避剤をきちんと天井裏に届けることができるか?」という点であり、作業しにくい場所であれば設置タイプはあまりおすすめできませんが、容器ごとではなく中身だけを設置するタイプであれば天井裏への侵入口から投げ入れることもできます。
手の届かない場所に使用する場合
忌避剤を使用する場所が「手の届かない場所」である場合には、同じくスプレータイプまたはくん煙タイプの忌避剤が使いやすいです。
設置タイプの忌避剤は家電などへの影響もなく、効果が持続しやすいというメリットがありますが、設置するためにその場所に移動しなければならないという特徴があるので、手の届かない場所のネズミを追い出したい場合は適していません。
ただし前述のとおり、分包されている中身だけを取り出して使用するタイプの設置タイプ忌避剤であれば、投げ入れることが可能であれば使用に適していますが、設置場所がある程度曖昧になってしまう点には注意が必要です。
どこにネズミがいるのか不明な場合
もし、「どこにネズミがいるのかわからない状況」で忌避剤を使用したいのであれば、くん煙タイプの忌避剤を使用することをおすすめします。
スプレータイプや設置タイプの忌避剤は、忌避効果が表れる範囲がある程度制限されてしまうため、建物内のどこにネズミが生息しているのか明確ではない場合だとネズミがいる場所に忌避剤の効果を及ぼすことが難しくなってしまいます。
一方でくん煙タイプの忌避剤であれば、空間内の隅々まで忌避剤の効果が及ぶため、仮にどこにネズミがいるのかわからない状況であってもくん煙の届く範囲にいるのであれば、忌避剤の効果を及ぼすことができます。
ペットや電子機器の多い環境で使用する場合
使用する場所が「ペット」「電子機器」の多い環境である場合には、設置型の忌避剤を使用することをおすすめします。
薬剤が拡散するスプレータイプやくん煙タイプの忌避剤の場合、誤ってペットに悪影響を及ぼしてしまったり、電子機器の故障や火災の原因になる可能性があります。
使用する場合にはこれらの避難または養生が必要になるのですが、手間がかかってしまいます。
設置タイプの忌避剤は臭いを拡散させるだけなので、ペットへの影響は考えられますが、電子機器や家電製品への影響はほとんどありません。
忌避剤の効果的な使い方について
忌避剤は製品ごとに異なる持続性を把握して、効果が切れる前に再使用・再設置して効果を持続させましょう。
進入経路を封鎖するなどして被害の再発に努める必要がありますが、封鎖のタイミングを間違えるとネズミを追い出すことができなくなる可能性があります。
持続性を把握する
忌避剤はタイプごとに持続性が異なります。
当然ながら持続性が失われた時点でネズミを追い出す効果もなくなってしまいますので、ふたたびネズミが近づいてくる可能性が出てくるのです。
- ・スプレータイプ:持続性は短い
- ・くん煙タイプ:持続性は短い
- ・設置タイプ:持続性は長い(使用環境による)
即効性のあるスプレータイプやくん煙タイプの忌避剤は、その一方で持続性に乏しいという性質があります。
具体的な持続性は商品ごとに異なりますので、購入した忌避剤の持続性を調べておき、効果が切れる前に再使用して効果を持続させることをおすすめします。
設置タイプは一般的に持続性のある忌避剤が多いのですが、風雨にさらされるなど使用環境・使用条件によってはスペック通りの持続性を発揮しない可能性があります。
使用方法をよく確認して、使用環境が持続性に影響するかどうかを把握して再設置のタイミングを検討してください。
ネズミが近づく環境を改善する
ネズミが侵入しているということは、その建物が「ネズミにとって都合の良い環境である」という可能性が考えられます。
ネズミ被害の再発を防ぐためには、少しでもネズミにとって都合の良い状況を改善することも重要なポイントです。
では、ネズミにとって都合の良い環境とは何かといえば、主に以下の条件が考えられます。
- ・エサが豊富である
- ・寒さをしのげる
- ・巣を作る環境が整っている
- ・天敵がいない
上記の条件のうち、住人がネズミ被害の再発リスクを減らすために手を出せる要素としては「食べ物を片付ける」ことです。
キッチンを中心に、ネズミが手を出せる場所に食べ物を放置していると、ネズミはそれを奪って自分の食料にしてしまいます。
食べ物自体を建物内からなくすことはできませんが、ネズミが手を出せない場所、例えば「棚の中」にしまっておくなどの工夫は可能です。
追い出した後に侵入経路を封鎖する
ネズミが建物内に侵入したということは、どこかに「ネズミが通れる侵入経路」が存在しているということでもあります。
この侵入経路を封鎖しないと、忌避剤の効果が切れた後にふたたびネズミが侵入する可能性を残すことになります。
ネズミを追い出したら、建物中の隙間をチェックし、「防鼠金網」や「防鼠パテ」などを使用して侵入経路を封鎖しましょう。
このとき注意したいのが「進入経路を封鎖するタイミング」です。
もし、ネズミが建物内に残っている状態で侵入経路を封鎖してしまうと、脱出経路を封鎖してしまうことにもなります。
なので、侵入経路を封鎖するのは、建物内からネズミを追い出しきったあとにしましょう。
市販の忌避剤のほかにネズミが嫌がるものとは?
ネズミは、さまざまな「臭い」や「音」などに対して忌避反応を示します。
種類 | 具体例 |
臭い | ・ミントなどのハーブ ・ユリの花(球根はエサになる) ・樟脳 ・天敵(ネコなど)の臭い ・トウガラシやワサビなどの刺激物 |
音 | ・超音波 ・天敵の鳴き声 |
光 | ・赤い回転灯(火を連想させる) |
環境 | ・寒いところ ・食料がないところ ・天敵がいるところ ・急激な変化 |
異物反応という習性
ネズミには「異物反応」という習性があります。
この習性は、何らかの変化が発生した際に強い警戒心を示す習性であり、うまく利用することでネズミを追い出すことができます。
一方でこの習性はエサで罠におびき寄せるのに苦労するという側面もあるため、粘着シートなどでネズミを駆除する際には根気強く罠を設置し続ける必要があります。
環境順応という習性
ネズミは異物反応と逆の習性である「環境順応」という習性も持ち合わせています。
この習性は異物に対して最終的に慣れてしまうという習性であり、同じ変化を与え続けてもネズミはそのうち慣れてしまい、元の場所に戻ってきてしまう可能性があるのです。
例えば、ネズミは「超音波」に対して忌避反応を示しますが(音圧などの条件はありますが)、同じ周波数・音圧の超音波を流し続けると最終的にネズミは慣れてしまい、忌避反応を示さなくなります。
そのため、同じ異物を与え続けるのではなく、例えば超音波であれば「周波数を変える」など、与える影響に何らかの変化を加えるなどの工夫が必要になります。
また、環境順応を示す前に侵入経路を封鎖することも重要です。
まとめ
忌避剤を使用することでネズミを追い出すことができ、死骸の処理などを必要としませんが使い方によっては十分な効果を得られない可能性も考えられます。
使用する環境を考慮して商品を選び、使用上の注意などをきちんと確認して正しい使い方を実践してください。
なお、ネズミを追い出しても「ネズミの糞尿」や「ネズミの巣」など、ネズミがいた痕跡は残っており、これらを放置すると病気の原因になる可能性もあります。
清掃と消毒の作業はそれなりに手間がかかりますので、ネズミの駆除もあわせて害獣駆除業者にネズミの駆除とその後の清掃・消毒作業を依頼することも検討してください。
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