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ネズミは種類によって大きな違いがある!種類ごとの特徴や習性を理解しよう
- ネズミ駆除の豆知識
- 2019.10.15
一口に「ネズミ」といっても、さまざまな種類が存在します。
日本に生息している、それも人家に侵入して被害をもたらすネズミに限定しても主に3種類存在し、それぞれに特徴や性質が大きく異なります。
そこで、ネズミの種類ごとの特徴や習性の違いについて解説します。
日本の家に侵入する3大ネズミ
日本の建物内に侵入しようとするネズミを「イエネズミ」と呼ぶことがあります。
イエネズミには大きく分けて「クマネズミ」「ドブネズミ」「ハツカネズミ」という3種類のネズミが存在します。
それらの基本的なデータは以下のとおりです。
クマネズミ | ドブネズミ | ハツカネズミ | |
大きさ | 体長18~24cm | 体長22~26cm | 体長6~10cm |
毛の色 | 黒・茶褐色 | 灰褐色 | 黒・褐色 |
食べ物 | 雑食だが植物(特に種子)が好物 | 雑食だが肉類・魚類を好む | 雑食だが穀物や野菜を好む |
性格 | 警戒心が強い | 獰猛 | 穏やかで好奇心旺盛 |
寿命 | 2~3年 | 2~3年 | 1~2年 |
生息 環境 |
乾燥した高所を好む | 湿った場所を好む | 狭い場所を好む |
特徴 | 運動能力に優れる 配管上りや綱渡りを得意とする 泳ぐこともできるが好まない 耳が大きく、尻尾が長い スーパーラットが増加中 |
泳ぎが得意 綱渡りは苦手 耳が小さく、尻尾が短い 粘着罠が効きにくい 人を噛むことがある |
綱渡りが得意 泳ぎは苦手 耳が大きく、尻尾は短い 臭いが特徴的 |
繁殖 | 生後3か月頃から繁殖可能 妊娠期間は23~23日 1回の妊娠で6~7匹産まれる 1年に5~6回妊娠する |
生後3か月頃から繁殖可能 妊娠期間は23~23日 1回の妊娠で7~9匹産まれる 1年に5~6回妊娠する |
生後5週頃から繁殖可能 妊娠期間は18~23日 1回の妊娠で5~6匹産まれる 1年に6~10回妊娠する |
駆除においてはネズミの種類を特定すると効率よく駆除できる可能性が高くなりますが、判別が難しい場合には「クマネズミ」であると判断して駆除することが多いです。
クマネズミの特徴
ここからは、3種類のネズミそれぞれの特徴について詳しく解説していきます。
まずは「クマネズミの特徴」について解説します。
- ・日本で最もネズミ被害として多くみられる
- ・垂直移動や綱渡りなど、高所の移動能力に優れる
- ・警戒心が強い
- ・殺鼠剤が効かない「スーパーラット」が増加中
日本で最もネズミ被害として多くみられる
イエネズミは3種類いますが、日本におけるイエネズミの被害の大半はクマネズミによるものです。
かつて、戦後に下水道の普及が進んだことで、ドブネズミ優位の状況にありましたが、高層ビルなどの高い建物が増えてくると高所での活動が可能なクマネズミが増えてきました。
イエネズミは種類によって習性が異なるため、効率の良い駆除の方法は異なるのですが、建物内のネズミの種類が特定できない場合にはクマネズミであることを前提として作業することが推奨されています。
垂直移動や綱渡りなど、高所の移動能力に優れる
クマネズミの特徴として有名なのは「高所の移動能力に優れる」というポイントです。
- ・壁や柱をよじ登れる
- ・電線やケーブルの上を綱渡りすることができる
- ・1mほどジャンプできることもある
日本では、屋根裏やビルの高層階といった、乾燥した高所を好む習性があります。
他のネズミでは入れないような高所の隙間でも入り込むことができるため、駆除作業における侵入経路の封鎖においては高所の侵入経路もしっかりと封鎖しなければクマネズミの侵入を防ぐことは難しいです。
警戒心が強い
クマネズミは「警戒心が強い」という性格の持ち主です。
他のネズミももちろん環境や状況の変化には反応しますが、中でもクマネズミは警戒心が強い傾向にあり、人間が設置した罠や毒エサなどに対しても強く警戒します。
警戒心が弱いハツカネズミがひっかかるような罠でも、クマネズミはなかなか引っかかってくれないこともあります。
最終的には慣れることで罠にかかってくれることもありますが、他のネズミと比較すると警戒心を解いてくれるまでに相応の時間を必要とすることが多いです。
殺鼠剤が効かない「スーパーラット」が増加中
ネズミを駆除する方法として有名な「殺鼠剤(毒エサ)」ですが、クマネズミの中には「スーパーラット」という、一部の殺鼠剤の成分が効きにくい個体が増加しています。
成分名 | 主な効果 |
クマリン系 (ワルファリンなど) |
・抗凝固作用による出血 |
リン化亜鉛 | ・体内でリン化水素ガスを発生させ、呼吸困難を引き起こす ・即効性が高い |
シリロシド | ・呼吸困難を引き起こす |
α-ナフチルチオウレア | ・呼吸困難を引き起こす ・ドブネズミに効果的 ・生き残ると耐性を獲得する |
ノルボルマイド | ・血管が停滞し、酸欠状態になる ・致死効果が高い |
「ワルファリン」や「α-ナフチルチオウレア」といった成分は、耐性を獲得される可能性があり、殺鼠剤をただのエサとして見られてしまう可能性があります。
「リン化亜鉛」など、スーパーラットにも効果がある殺鼠剤を使用する必要があるため、スーパーラットの駆除には駆除方法の選択肢が狭められてしまうことになります。
ドブネズミの特徴
次に解説するのは「ドブネズミの特徴」です。
- ・獰猛な性格である
- ・小さな穴をかじって広げて侵入経路にできる
- ・湿った場所を好み、泳ぐこともできる
- ・高所への移動は苦手
獰猛な性格である
ドブネズミの特徴で注意したいポイントは「獰猛」であるということです。
獰猛な性格のドブネズミは建物内で見かけた生き物に対して攻撃を行う可能性があり、特に小型動物や鳥類、動物の赤ちゃんなどは攻撃の対象となりやすいです。
また、場合によっては人間に噛みつく可能性もあり、ケガや「鼠咬症」などの病気のリスクを考慮しなければなりません。
ドブネズミは雑食ですが中でも「肉類・魚類」といった動物性の食事を好む傾向にあり、場所によっては生態系を崩すような行動をすることもあります。
小さな穴をかじって広げて侵入経路にできる
ネズミは、さまざまな「隙間・穴」から建物内に侵入しますので基本的に「体が通れるサイズである」ことが必要不可欠なのですが、ドブネズミの場合は少し事情が異なります。
体長30センチ近くにもなるドブネズミともなると、隙間もそれなりの大きさである必要がありますが、ドブネズミの場合はわずか1センチ程度の穴があれば、その周囲をかじって自分が通れるだけのサイズの隙間に広げてしまうのです。
そのため「この隙間なら虫くらいしか入れないだろう」というような隙間を放置すれば、そこからドブネズミが入り込む余地を残してしまうことになるのです。
湿った場所を好み、泳ぐこともできる
ドブネズミはその名前の通りドブ、つまり下水などの湿った場所を好んで生活しています。
自然界では河川や水田、湿地帯や海岸といった水の近くを好んで生活の場所としているのです。
ドブネズミは積極的に水の中に入り、泳ぐこともできます(1分間に5メートル以上の距離を泳ぐことも可能)。
その関係で体は湿っており、捕獲罠のうち「粘着シート」は効果を発揮しにくいという厄介さをもっているのです。
また、「寒さに強い」という特徴もあります。
高所への移動は苦手
ドブネズミは、クマネズミよりも平面的な生活環境を好み、高所への移動は苦手としています。
クマネズミが屋根裏などの乾燥している高所を好むのに対して、ドブネズミは湿った低所を好んで生活することが多いです。
そのため、屋根裏などを生活の中心とするクマネズミとは対極的に、床下や台所といった低くて水を確保できる場所が生活の中心になることが多いです。
ハツカネズミの特徴
最後に「ハツカネズミの特徴」について解説します。
- ・小型である
- ・好奇心が旺盛
- ・カビのような臭いがする
- ・人口密集地にはあまり生息していない
- ・乾燥に強い
小型である
ハツカネズミの最大の特徴は、イエネズミの中では最も「小型」であるということです。
他の2種類と比較して体長は2~3分の1程度であり、ペットとして飼われているハムスター並みのサイズしかありません。
そのため、基本的に見た目の大きさで他の2種類との判別がしやすい種類となります。
好奇心が旺盛
ハツカネズミの性格上の特徴としては「好奇心旺盛」であるという特徴があります。
もちろん、野生動物としての警戒心は持っているものの、他の2種類と比較すると警戒心は弱めであり、人間が仕掛けたネズミ用のワナにも引っかかりやすくなっています。
カビのような臭いがする
ハツカネズミの特徴として「カビのような臭いがする」という特徴があります。
ハツカネズミ自体からも臭いがしますし、ハツカネズミが通った後にもカビのような臭いが残るケースもあります。
そのため、建物内のハツカネズミの存在を知る手掛かりの1つとして利用できます。
人口密集地にはあまり生息していない
ハツカネズミの生息地としては、「人口密集地」よりも「農村部などの過疎部」のほうが中心となります。
田畑や河原、砂丘にも生息しているなど生息環境は幅広く、普段は屋外で生活しているハツカネズミが寒い季節になると寒さをしのぐために人家に侵入するというケースも多いです。
都会にも生息していないわけではありませんが、人の生活圏内よりも港湾部などの人の少ないエリアに生息していることが多いです。
乾燥に強い
ハツカネズミは、ドブネズミとは対極的に「乾燥に強い」という特徴があります。
乾燥しており、密閉した空間を好むハツカネズミは乾燥への耐性が高く、しばらく水を得られない環境に遭っても長時間耐えられるという習性があります。
なので、港湾部のハツカネズミが船舶のコンテナに侵入し、水を得られない状態にあっても耐え抜くというケースも珍しくありません。
どのネズミにも共通すること
前述のとおり、3種類のイエネズミはそれぞれ特徴が大きく異なりますが、共通して言えることも多いのです。
- ・隙間から建物に侵入する
- ・建物内でさまざまな物をかじる
- ・ダニや病原菌を運んでくる
- ・周囲の変化に敏感だが、慣れる
- ・夜行性である
- ・縄張り意識が強い
- ・物陰や壁際などに沿って移動する
隙間から建物に侵入する
ネズミは小さな生き物なので、ちょっとした隙間があれば建物内に侵入することができます。
- ・通気口
- ・屋根の隙間
- ・壁のひび割れ、穴
- ・基礎の隙間
- ・電線導入部の隙間
- ・換気扇
- ・配管と壁の隙間
- ・戸袋の隙間
また、体の大きなドブネズミは数センチの大きさの隙間があればその周囲をかじり、隙間を広げることで侵入することもあります。
建物内でさまざまな物をかじる
ネズミは、歯を削り、エサや巣材を確保するために家の中でさまざまな物をかじります。
かじる対象 | 発生するリスク |
人間の食べ物 | ・衛生が悪化する ・繁殖のきっかけになってしまう ・周囲が汚れる |
家の柱などの 木材や断熱材 |
・建物の資産価値が低下する ・地震発生時の倒壊リスクが増加する ・住み心地が悪くなる ・巣材にされてしまう |
タンスなど木製の家具 | ・家具の修理や買い替えが必要になる ・巣材にされてしまう |
ソファなど 布製の家具や衣類 |
・家具の修理や買い替えが必要になる ・巣材にされてしまう |
家電製品のコード | ・家電の修理や買い替えが必要になる ・ショートを起こす可能性がある ・巣材にされてしまう |
水道などの配管 | ・配管の修理が必要になる ・水漏れやガス漏れの原因になる |
建物やライフラインに関係する物をかじる可能性があり、資産価値の低下や修繕のために経済的な被害を受け、水漏れや漏電、火災などのリスクを抱えることになるのです。
ダニや病原菌を運んでくる
ネズミは「ダニ」や「病原菌」を家の中に運んできます。
ダニの中には人を噛む(吸血する)種類がおり、噛まれた場合には以下の症状が発生する可能性があります。
局所症状 | ・かゆみ ・発赤 ・しこり ・水ぶくれ社 |
全身症状 | ・発熱 ・頭痛 ・アレルギー症状 (アレルギー性鼻炎) (アレルギー性結膜炎) (アトピー性皮膚炎) ・各種感染症 |
さらに、ネズミは以下の病原菌を運んでいる可能性があります。
・レプトスピラ症
ツツガムシリケッチア
・ツツガムシ病
病原菌 | 発症する病気・症状 |
サルモネラ菌 | ・食中毒 ・腸チフス ・パラチフス |
ハンタウイルス | ・ハンタウイルス肺症候群 ・腎症候性出血熱 |
E型肝炎ウイルス | ・E型肝炎 |
レプトスピラ菌 | ・レプトスピラ症 |
ツツガムシリケッチア | ・ツツガムシ病 |
周囲の変化に敏感だが、慣れる
ネズミは、種類によって程度の違いはありますが基本的に警戒心を持っており、いつもと違う状態になると特に強く警戒する習性があります。
例えば「殺鼠剤」や「捕獲罠」を設置しても最初の頃にはなかなか効果を発揮しないのも、ネズミのこの習性によるものです。
「臭い」や「音」などを利用してネズミが嫌がる環境に作り替えることでネズミを追い出すことができるという側面もありますが、ネズミは環境の変化に対応する能力も有しています。
夜行性である
ネズミはどの種類でも基本的に夜行性であり、日没後から夜明け前の数時間の間に活動します。
住人が寝静まってから活動するため、物音で睡眠を妨害する可能性が高いのが厄介です。
ただし、人間などの気配がない場合だと、昼間でも活動するケースもあります。
縄張り意識が強い
ネズミは、巣を作ってその巣を中心にエサを確保するための行動をとります。
その空間が「縄張り」となり、他のネズミを排除しようとします。
縄張り意識が強い生き物であり、同じネズミの仲間である「ハムスター」などのペットを飼っている場合だと近づかない可能性があります。
物陰や壁際などに沿って移動する
ネズミは広い空間を横切ることが少なく、基本的に物陰や壁際に沿って移動します。
その際、いわゆる「ラットサイン」を残すことがあり、これを発見することで建物内のネズミの存在を知ることができます。
- ・壁際などの黒い汚れ
- ・ネズミのフン
- ・ネズミがかじった形跡
まとめ
3種類のイエネズミはそれぞれ異なる特徴を有していますが、「ネズミが家の中に侵入している」という状況は、どのネズミであっても放置できない大きな問題です。
放置すればさまざまな物をかじられ、病気を媒介し、眠りを妨げる厄介な存在として住人に悪影響を及ぼすのです。
ネズミの存在を察知したら、早めに業者に連絡して駆除してもらいましょう。
業者はどのネズミであってもその習性を把握したうえで適切に作業してくれるので、効果的にネズミを駆除してくれるはずです。